ドルイドとは
ケルト人社会は知識層・騎士・民衆の三層の階級に分かれていた。
その中で知識層にあたるのがドルイド(Druid)です。日本語ではドゥルイドとも呼ばれます。
当ブログではドルイドで記述します。
ドルイドという言葉の意味
ドルイドという言葉の意味は説が複数あるんですが、ドルが「オーク(樫の木)」でイドが「知恵・知る」なので「樫の木の賢者」という説が以前は有力だったみたいですが、wikiによると現在ではドルが強意(きょういーある部分の意味を強める)の接頭語で、イドの「知恵・知る」と合わさって「多くを知る者」といった意味であるという説が有力なようです。
ドルイドの役割
ドルイドは様々な役目を持っていました。
- 裁判長
- 教師
- 祭司
- 医者
- 自然学者
- 天文学者
- 政治的指導者
- etc…
などかなりの数です。
ケルト人社会のエリート集団
つまりドルイドはエリートの集団ですね。
ドルイドは特権階級で、税と兵役が免除されていました。羨ましい限りですが、ドルイドになるには20数年にも及ぶ修行をしなくてはなれなかったようです。
ドルイドの教義を書き記す事は許されていなかったので覚えなくてはいけないのです。全て暗唱できないとドルイドにはなれません。
生まれも重要で、どうやらドルイドたちは貴族だったようです。いいとこの坊ちゃんだったんですねドルイドは。
ドルイドの権力
彼らは王権にも匹敵する権力を持っており、王が変わるときはドルイドが選びます。
儀式を行って王が決まるのですが、まずは2匹の牛を殺します。で、その肉を食べたドルイドの夢に出てきた人物が次の王です。
すでにいる王が年老いてきた場合の儀式は、さくっと剣で殺します。それで出てきた血の流れ方で決めます。
ドルイドが王よりも上位である事がよくわかる逸話ですね。
ドルイドの宗教
ドルイドは祭司でもあるので宗教儀式を行っていました。彼らは神々と人間の仲介者として様々な神託を伝えていたようです。
ケルト人の教義では霊魂は不滅の存在であり、死んでもまた別の肉体に宿るといわれていました。つまり「輪廻転生」です。
人身御供(生け贄)の儀式も行っていたようですが、裏づけとなる考古学的根拠が弱く詳しくは分かっていません。
ただ、争いの調停などを行っていたので犯罪者などを裁く過程でなんらかの儀式が行われていたのかもしれませんね。
分かれていくドルイドの役割
当初はドルイドが全ての役割を果たしていましたが、次第に分かれていきます。
残された文献の中にはこれらの知識層を指す言葉が複数ありますが、ドルイド・ウァテス・バルドの3つが知識層を構成していたとされています。
祭司・政治・法律など ドルイド
宗教儀式を行う祭司であり政治的指導者でもあった。占いなども行っていたようでウァテスとも役割が重なる部分もある。
予言や占い・天文学や自然科学など ウァテス
天文学や自然科学などを担当し予言や占いをしていました。ドルイドとは重なる点も多く、力関係も同等程度だったという説があります。
詩人 バルド
宗教の教義や、伝承、神話や歴史など様々な出来事を詩にして語り継ぐ役目。
詩人には役割ごとに呼び名があります。
- 語り部(フィラ)・・・次の世代へ語り継ぐ者
- 吟唱詩人(ボエルジ)・・・有力者の宴の席で物語などを歌う者
- 吟遊詩人(バード)・・・各地を飛び回りながら様々な出来を歌い広める者
これら詩人が情報伝達機関だったわけですね。
有力者たちは詩人が自分のことを悪く広めないように、詩人のご機嫌をとっていました。
詩には超自然的な力が宿ると信じられており、自由に詩をあやつる詩人はドルイドの中でも一目置かれていた。
ドルイドに重要な「オーク(樫の木)」
ドルイドにとってオークの木は神木です。オークの木から落ちた実は豚が食べて、その豚を人間が食べる、また実を粉にしてパンを焼いて食べていました。
なのでオークの木が全ての生命源として、崇められていました。
彼らはこの葉がなければいかなる宗教的な儀式も行う事ができなかったようです。
宿り木
宿り木(ヤドリギ)は他の木に寄生する草木のことです。
ドルイドはオークの木を神木として崇めていましたが、そのオークに出来た宿り木は神の手によって宿されたものとして、信じられていました。
どうやらオークに宿り木がつくのが相当レアなようで、見つけたら刈り取りの儀式は盛大に行われました。
白衣を着たドルイドの1人が、巨大なオークの木の枝に着生した宿り木を黄金の鉈で切り落とし、他の者が厚手の白い布で受け止めます。地面に落ちると神聖な力が消えてしまいます。
そして角を結ばれた2頭の雄牛を生け贄にささげていました。
手に入れた宿り木は万能薬(パナケア)として使用されたり、宗教の儀式に使います。
最後に
ゲームなどでもよく魔術師や呪術師として出てくるドルイドは、ケルト人を語る上で無くてはならない存在です。
ただ、ガリア(古代ローマのケルト人一派が住んでいた地域)やブリテン島以外でドルイドの教義の記録が見つかっていないために全てのケルト民族での事とはいえないみたいです。
生け贄の儀式をドルイドが行っていたのかどうかなども含めて、様々な事はドルイド達自らが教義を書き記していない以上は、まだまだ分からない事だらけです。
キリスト教の迫害などで消えていったドルイドですが、現在はドルイドの教義を復活させた団体、ネオドルイド教があるようです。生け贄とかは無くて自然界の調和と、環境を含むすべての存在に対する敬意を表しているそうです。
自然LOVEってことですね。地球にやさしいわー。