「ケルト神話なんて知らない!でもケルトって言葉なら聞いたことあるよ!」
なんて言ってる……そう、そこのあなた!そんな事じゃダメですよ!
……とか言ってる僕もケルト音楽を好きになる前は詳しく知らなかったけど。
知らないならば調べてみようじゃないですか。
と言うわけで、いっしょにケルト神話についてさくっと学んでいきましょう!
ケルト神話って何?
時は過去にさかのぼる事、紀元前…。
古代ケルト人は独自の文字を持たず口承(こうしょう…口で伝える事)で語り継いできた。
しかしローマ帝国による征服やキリスト教への改宗などで宗教が禁止され、ドルイド(ケルト人の司祭)による口承が途絶えてしまった。
ほとんどがローマやキリスト教の史料(しりょう…歴史の研究につかう文献・遺産の意)の中にしか残されていない。
ケルトの伝承は途絶えたかに見えた……ところがどっこい、ローマの支配圏外にいた民族や支配されずに生き延びていたケルト系民族には伝承が残されていのだ!
だがしかし、文字に書き起こされたのは中世に入ってからだ。
なので失われたものも多数存在している事だろうが、いかんせん史料が少ないので真相は分からないのであった……。
……というわけで現代まで残された、アイルランドやウェールズ・スコットランド等の神話・伝承をまとめ、体系化したもの、それがケルト神話だ!
古代ケルトの神
ケルト人たちが自ら書き記したものが現時点でほとんど存在しないので、当時のローマ人やギリシア人などの記録・考古学の史料などによってのみ存在が推定されている神。
なので基本的にはっきりと分かっておらず、現在も研究が進められています。
有名な書物である ユリウス・カエサル著「ガリア戦記」※ で、ケルト民族が崇拝していた神とよく似ているローマの神々とくらべて書いている文などがあります。
※ローマではケルト人のことをガリア人と呼ぶ
テウタテス・・・最も崇拝されていた神。商売の神であり、あらゆる技術の発明家であり、旅人の守り神でもあったようです。神像が何種類も発見されています。
エスス・・・テウタテスとはっきりとした区別は無いみたいですが、戦いの神であったとされています。
タラニス・・・雷鳴で天を支配している神で、人間のいけにえが大好き。生贄の儀式はドルイドが行っていました。シンボルは「車輪」であり、大小さまざまな車輪が出土している。
タラニス信仰の奉納品である「車輪」
エポナ・・・馬やロバなどの守護神で豊穣の女神。
ベレノス ・・・太陽神であり、病気を癒してくれる神。古代アイルランドでは太陽崇拝が強く根付いていた。
ケルヌンノス・・・闇や死の神であり、角のある姿で描かれている。
ルゴス・・・若い戦士の英雄であり、時おり太陽・光の神とも解釈されている。
これ以外の神もいますが、とりあえずさくっと書いてます。
井村君江 著「ケルトの神話」によると、ユリウス・カエサルは少なくとも374柱の神がいると記しているそうです。
かなりいるみたいだけど、史料が少なくほとんど分かってません。
古代の神も調べてたら面白いけど、やっぱりケルト神話の中ではアイルランド神話のほうが人気だなー。
アイルランド神話 4つのサイクル
サイクル(cycle)とは、共通の人物の物語をまとめた郡(ぐん)・グループの事です。
種類によっては作品郡とか物語群などいろんな呼び方になるけど、ネットで調べてもサイクルと呼ぶ所が多いし、カッコいいのでサイクルで統一します^^
神話サイクル
女神ダヌを母とする神族「トゥアハ・デ・ダナーン」と呼ばれるダーナ神族や恐ろしい力を持った巨人族「フォモール」などの物語。
巨人の王「バロール」の魔眼とか、ダーナ神族のルーが持つ剣「フラガラッハ」とかが有名。
アルスターサイクル
赤枝の騎士団(レッド・ブランチ・チャンピオン)のクー・フーリンを中心とした物語。
クー・フーリン太陽の神ルーを父に持ち、半神半人の英雄です。
アニメやゲームなどでよく使われるので聞いた事ある人も多いと思います。
冥界の女王「スカアハ」やクー・フーリンのもつ魔槍ゲイ・ボルクが有名。
チャリオットに乗って戦うクー・フーリン
フィニアンサイクル
フィン・マックールと彼が率いるフィアナ騎士団の物語。
フィン・マックールはダーナ神族の王ヌアザの孫娘と当時のフィアナ騎士団の団長クール・マックトレンモーの間に生まれる。
フィンの生まれからフィアナ騎士団の崩壊までがフィニアンサイクルと呼ばれている。
フィン・マックールはもちろんだが、騎士団最強の戦士であるディルムッド・オディナも有名です。
アルスターサイクルの約300年後の伝説と語られている。
歴史サイクル
歴代のアイルランド君主を語るサイクル。
中世アイルランド人の詩人には王族の系譜を書き記す義務があったようで、歴史と神話を混在させた詩を残しています。
作られた詩はいくつかのグループに分けられているので、これを歴史サイクル(Historical Cycle)と呼びます。
↑アイルランド神話入門用にオススメ。
ウェールズ神話
代表格の4つの古写本は カーマーゼンの黒本、ルゼルフの白本、ヘルゲストの赤本、タリシエンの書で、あとはアナイリンの書などがある。
この中に記されている詩や作品は全てが神話の対象になっています。
19世紀のイギリス人文学者のシャーロット・ゲストにより1938年から45年にかけて英訳され、マビノギオンと呼ばれる書物が広く一般にも知られるようになりました。
そしてケルトブームが始まります。
マビノギオンには中世の古写本、ルゼルフの白本とヘルゲストの赤本の2つとマビノギ四枝(マビノギ四つの物語)と呼ばれるものが収録されています。
そのなかにはあの超有名なアーサー王伝説のバリエーションとなる話も含まれています。
↑マビノギオンって響きがカッコいいなー
最後に
以上がケルト神話ですが、どうでしたか?
さくっとまとめたつもりだったけど結構長いな……。
まぁ、さっと流し読んで「大体こんな感じかぁー」ってなれば入門編クリアです。
おめでとうございます!
これを書いてる現時点でも新しい事が考古学者らにより議論されていきます。
ある日急に変わるなんてこともあるかもしれません。
なのでこれからも調べて書いていきたいと思いますので、みなさんもケルト神話に興味を持ってくれたらなと思います。