パリの「船乗りの柱」のエスス
エスス(Esus)
エスス(Esus)には異体字(標準の字体と同じ意味・発音を持つが、表記に差異がある文字)の綴りがあり、Hesus、Aesus、Haesus と書かれます。
上の画像は現在で唯一のエススであると確定している物です。パリのノートルダム大聖堂の地下から出土しました。
エススは商売・豊穣・戦いの神で、善神ではあるが人間の血を好む残忍な神としても恐れられていました。
職人(木こり)の姿で描かれ、雄牛の周りに3匹の鶴が回っている紋章が残っています。
雄牛は力や豊穣のシンボルです。
また、ローマではテウタテスやケルヌンノスと混同されていたようで不明な点が多いです。
「井村君江 著 ケルトの神話 女神と英雄と妖精と ちくま文庫」によれば、他の古代ケルトの神であるエスス・タラニスとは三位一体の神として、太陽と光、あらゆる技術の神である「ルー」に集約されていると書かれています。
エススはテウタテスやタラニスと共にガリア戦記で記述がありますが、考古学的資料の乏しい神でありその信仰についてあまり詳しくはわかっていません。
名の意味
「主」や「王」や「支配者」といった意味があるようです。
なにがどう主や王なのか詳しく分かりませんが、戦いでは力の象徴で、平時には繁栄に関わる商売や農業の象徴だったので、指導者的な意味なのかもしれません。
各国の言語で書かれたwikipediaも全て調べてみましたが記述がばらばらで仮説が多いようです。
基本は善神、でも残忍
豊穣と商売の神で基本は善神だが、人の血が大好きで生け贄を求める神でもあった。
エススへの生け贄は木に吊り下げた人を殺し、捧げていました。
ローマから見たエスス
ローマのユリウス・カエサル 著 「ガリア戦記」には古代ケルトの神を、性質の似ているローマの神々に当てはめて説明しています。
それによるとエススに対応した神はマルスですね。
情報が増え次第、随時追加していきます。