民族音楽の世界には、かなりの数の楽曲が存在する。
一昔前のパソコンが無い時代は、楽曲の情報を得るのにも一苦労だ。
しかもアイルランドなどの伝統音楽は口承?楽譜はほとんど使わない?
おいおい、そりゃないぜ。楽譜すらないとか、遠方の国じゃどうしようもないじゃないかよ!
そして月日は流れ1993年12月8日……
日本にもインターネット社会の波が押し寄せる頃、やつは現れた……ざわ…ざわ…
ABC記譜法
ABC記譜法(エービーシーきふほう)はアイルランドやスコットランドなどの膨大な数の民族音楽の情報をパソコンで取り扱いやすくするために生み出された。
同じようにパソコンで取り扱いやすくした記譜法は複数存在しているが、その中でもイギリスの Chris Walshaw(クリス・ウォルショウ)という方が作成したこのABC記譜法がアイルランドではよく利用されている。
アイルランドでは一般的
例えばあなたが覚えた曲を聴いたアイルランド人がいたとしよう。
彼(または彼女)がその曲を気に入り要求してきた
「よこせ……譜面を……すぐに……!!」
求められるままにあなたは曲を書き起こし、五線譜にして渡してあげた。
がっ……駄目っ……!
「受け付けない……ABC譜以外は……!」
アイルランドでも五線譜が読めないor苦手な人は大勢いるし、プロにも結構いる。
でも耳コピ文化だから五線譜が苦手でも問題なし。
ABC譜があるさ!
ドレミじゃないぞ、ABC!
日本で音楽を習う時には、五線譜を使いながら「ドレミファソラシド」と覚えた人が大半だと思うのだが、国によっても様々。詳しく書くと長いので気になる人は調べてみよう。
で、↓のこれを見ていただこう。
英語表記だと、ドレミは「C・D・E・F・G・A・B・C」と表記している。
そしてABC記譜法では、この英語表記を使う。
いつでもすぐに出てくるように、これは暗記するしかない。
表記方法
X: 1 |
これがABC記譜法にしたがい作られた楽譜だ。
五線譜に慣れてる人は混乱すると思う。僕も困っている。
上のX:の部分からK:までがtune header(チューン・ヘッダー)で、K:以下の部分がtune body(チューン・ボディ)と呼ばれている。
X:は「曲の番号」一箇所に何個も書いてある場合はここの番号順に読み込まれる。1つのファイルに1個しかなくても必ず書かなくてはならない。
T:は「曲のタイトル」
M:は「拍子」上記の曲は4/4なので4分の4拍子
L:は基準となる「音符の長さ」上記の曲は1/8なので8分音符が基準になる
Q:は「テンポ」上記の曲は1/4=100なので1分間に4分音符が100個という意味。100BPMで再生しますよ、ということ。
K:は調(key)で、必ずヘッダーの最後に書く。
ヘッダーに書く情報は20~30種類くらいあるみたいだけど、最低限必要なのはX:とK:のみ。
でもPCのソフトを使い音を鳴らしたりするには拍子とかテンポとかがあると、曲がより理解しやすい形になる。
ボディの部分は曲の音符が表記されている。
「CDEFGAB」が「ドレミファソラシ」。
1オクターブ低い音は「C,」のように「,」が付く。
1オクターブ高い音は「cdefgab」と小文字で表され、2オクターブ高い音は「c’」のように「’」が付く。
もし「z」があれば、それは休符だ。
詳しく調べるとまだまだ色々あるのだが、長くなりすぎるし僕も勉強中だ。
いつか別の機会にガッツリ書いてみようかと思う(多分)
伝統音楽へのアプローチは多彩
基本耳コピでやってきた僕にとって、最初の敵は五線譜だった。
ゆっくり勉強中の五線譜に加えてABC譜も覚えなくちゃいけないなんて、オーマイガッ!!
思い出して欲しいが、伝統音楽は好きにやればいいんだよ。
「五線譜?ABC譜?そんなもん知るかよぉ!別に耳コピだけでもいいだろぉ!」
耳コピも非常に重要だ。それは認めよう。
しかしまだまだ……伝統音楽のアプローチ方法は……可能性は残されている……。
どうぞ……存分に伝統を追い求めてください……。
僕は……その姿を……心から応援する者です……!