伝統音楽の道 第6回 「どこからどこまでケルト系?」

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どこからどこまでケルト系?

ケルト系の音楽を調べていると一度はこの疑問にぶち当たります。

もちろん、僕もその1人。

 

今だってわからない事も多いのに、調べ始めた当初は激しく混乱した。

ケルト系と思ってたけどよく調べたら違ったりするし、笛の音色が聞こえたら全部ティンホイッスルに聞こえるくらいだ。

まぁ、今も聞き間違えるけど^^

 

というわけで、今回はケルト系音楽の境界線を探って行きたいと思います。

 

ケルト音楽

現在、一般的にケルト文化圏とされている地域から発信される音楽と、それをベースにして広がり、発展させた音楽の総称として「ケルト音楽」という言葉が使われている。

ケルト音楽という区分けを作り上げ、1つのジャンルとしてまとめたのはレコード会社や音楽雑誌などの音楽業界だ。

 

で、このケルト文化圏とされている地域から発信される音楽というのが曲者。

伝統的なもの以外にもゴリゴリのロックでも、デスメタルでもケルト音楽になっちゃう。伝統音楽の要素とは無関係のポピュラー音楽まで全部含まれてしまう。

 

ケルト文化圏の国はそれぞれ独自に音楽が発展してきたので、それらを全部まとめて1つのジャンルに押し込めるのも、僕みたいな素人が混乱する原因にもなっている。

 

ジャンルは自体は世界でも定着しているので、名前くらいは聞いた事がある人も多いと思う。でもケルト音楽が好きだからと言って、根元の部分であるケルト民族やその文化などにも興味がある人はそれほどいないだろう。

そうなると何がケルト音楽なのかよく分からないまま、間違った知識が広がってしまう。

 

とはいえ音楽を楽しむだけでいいなら、ケルトの定義などがどうあれ楽しめる。

 

ケルトの境界線

上の図は現在ケルト国として認識されている6カ国だ。中でもアイルランドは強い影響力を持つ。

しかし過去にケルト民族がいた場所、という事だとブリテン諸島と西ヨーロッパ全域が範囲に入るし、まだ分かっていないだけで更に遠くにもいたのかもしれない。

 

今の所は、上記6カ国とイングランドを含むブリテン諸島と、フランスのブルターニュ、スペインのガリシアケルト圏として認識されている。

 

ケルト音楽の境界線

主にアイルランドやスコットランドが主要地域となる。

しかしケルト文化圏とされている地域の音楽とそれをベースとした様々な音楽、という括りが「ケルト音楽」と呼ばれる物になるので、範囲が広い。

 

19世紀にアイルランドで起きた「ジャガイモ飢饉」と呼ばれる食糧難によりアイルランド系移民が世界中に広がった。特に多いのが、ブリテン諸島、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリアなどになる。

そしてこの飢饉による移住先で音楽が広がり、あらたな曲が作り出されていく事となる。

 

という感じで世界各国に広がるのだが、ケルト音楽」と銘打って流通するほとんどがアイルランドとスコットランドから出ている。

 

どこからどこまでがケルト系音楽なのか、結論としては……


ケルト民族がいたとされる地域(ブリテン諸島、フランスのブルターニュ、スペインのガリシア)及びその民族の移住先(特にカナダのケープブレトン島とアメリカなど)で受け継がれた音楽と、それを元にした音楽。

上記以外の国から発信されてもケルト文化圏の音楽要素が取り入れられていたら、大体がケルト音楽ということになる。


最後に

区分け自体の定義がふわっとした曖昧なものなのでハッキリと区別するのが難しい!

ケルト音楽の皮を被っただけの曲もいっぱいあるみたいですが、僕みたいな素人にはなかなか判断が出来ない。

 

ただ、僕の尊敬するブライアン・フィネガンが言っていた言葉がある。

「伝統として入ってきた物は、伝統として出て行く」

例えば、アイルランド伝統音楽を学んだアメリカ人が、アメリカで伝統に基づき曲を作ったとすれば、それもまた伝統音楽と呼べるはずだ。

 

アイルランドやスコットランド等でケルト文化圏の伝統音楽を学び、その伝統を元に作られた音楽。

程度の違いはあれ、それらは全て伝統音楽の魂を受け継いでいるのだ。

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