ケルト人 蘇るヨーロッパ<幻の民>
1994年刊行 クリスチアーヌ・エリュエール 著 鶴岡真弓 監修
「ケルト人 蘇るヨーロッパ<幻の民>」
鶴岡 真弓(つるおか まゆみ、1952年9月9日- )は、日本の美術文明史家、ケルト芸術文化研究家。多摩美術大学・芸術人類学研究所所長・芸術学科教授。ケルト芸術文化、ユーロ=アジア世界の装飾デザイン交流史の研究家。
日本でケルトを調べていこうと思ったら外す事のできない人物の一人。特にケルト関連の装飾文化に造詣が深い。
ざっくり紹介
この本は1992年に刊行された Christiane Eluère(クリスチアーヌ・エリュエール)という方の「L’Europe des Celtes」という本の日本語訳版です。
本を読み始めてまず目に入ってくるのが、カラーで掲載されている様々なイラストや出土品などの図版だ。
この本は全190ページあるけど、前半の第1章~第6章の132ページまでにある図版はすべてカラーだ。しかもかなりの数が掲載されている。
これを見ているだけでも楽しい。
前半の1~6章で、ヨーロッパの歴史と共にケルト人について知ることが出来る。
後半は資料篇となっており、ケルト人の社会や私生活、文化やドルイドなどについて前半の章に出てきた一部の内容を補完するものであったり、ケルト人についてちょいと細かい所も書いている。
ケルト人の入門書
ヨーロッパの歴史をちょこちょこつまみながらケルト人の歴史や文化・生活などを知ることが出来るし、カラー図版も見ていて楽しい。
ケルト初心者への入門書として読むのをオススメする。
読む上の注意点
入門書ではあるが多少知識がないとちょっと内容が濃すぎるかもしれない。ケルトは知らなくてもいいけど、せめてヨーロッパ史の知識はちょっと欲しいかと。
まぁ知識ゼロだとしても大丈夫!色んな図版の解説を読んでいるだけでも楽しめるから。
それと、この本は出土品などの図版の解説が凄い多い。それを限られたスペースにまとめてるので、図の隙間にみっちり文字が入っている。僕は若干読み辛く感じた。
内容的には学術的な傾向が強いため、ケルトの思想や伝説・神話などの神秘的な面を知りたいのであれば他の本も読んだほうがいい。
最後に
この本が出たのは1994年だ。原本(げんぽん……翻訳元の本)は1992年なのでちょいと古いです。
最近のケルト研究では学説がころころ変わっているので、この本を読んだだけでケルトの事がばっちり全部分かるということは無い。
でもこの本で最新の研究以前のケルト知識を、全てとはいえないけどざっと知ることが出来る。
大量に掲載されているカラー図版だけでも、この本を見る価値は十分にあると思う。
この本を読んで知識を増やしてから、他のケルト関係の本を読んで行こう。
そうすれば、もっとケルトに興味が沸くはずだ。